こういうときは映画を観よう
昨日は、昼間はそわそわ、夜にはぽかーん……という1日だった気がします。
日本は小さな国、しかも島国。領土の広い国、国同士が隣り合っている大陸、様々な民族が一緒に暮らしている国のことは、なかなか理解しにくい。インターネットでこれほど情報が共有できるようになっても、そこで生きる人々の痛み、苦しみまではわからないものです。
2010年、アメリカで『ウィンターズ・ボーン』という映画が公開されました(Winter's Bone)。
今や若手実力派の筆頭となった女優、ジェニファー・ローレンス主演の本作は、アカデミー賞で作品賞、脚本賞、主演女優賞、助演男優賞にノミネートされました(世界中でかなりの賞を受賞)。ストーリーや作品の情報は調べていただくとして……
「ヒルビリー」と呼ばれる人々を描いた作品です。
これを観るまで、ワタシは「ヒルビリー」という言葉も、そういう人たちがアメリカに存在することも知りませんでした。
*映画評論家・町山智浩さんの解説で興味を持ち、観てみました。町山さんの解説はyoutubeでも視聴できます。この解説だけでも聴く価値あり!
ワタシ達が知る「アメリカ」は今の時代であってもなお「NY」や「LA」であって、それがすべてだと思っている。日本のラーメンやアニメを愛し、自由で気さくな人たちしかいないと思っている。
でも、この映画は「そうではない」ことを教えてくれます。「NY」や「LA」はアメリカの一部でしかないのだと。
タイトルが物語るように、暗い映画です。辛い映画です。「NYやLAで必死に生きる」なんてもなんじゃない、凄まじい暮らし。寒くて、冷たくて、やり切れない気持ちになる。「冬の骨」が意味するラストは、とてつもなく残酷です(予告編では「彼女は大人になるしかなかった」って言ってるけど、この表現、柔らかすぎ)。
でも、こういう人々がアメリカには間違いなく存在する。他の国にも……そして、もしかしたら日本だってそうかもしれない。
今朝の新聞で、この夏、アメリカで『ヒルビリー・エレジー』という小説がベストセラーになったことを知りました。
大統領選挙でクランプ氏を支持した人の多くが、この「ヒルビリー」だと言われています(映画に登場する人々を指す本来の意味と、現在、広義で使われている意味には少し差があるように感じますが)。
少女は家族を守るため、生きるため、あらゆる可能性にすがりつこうとし、行動します。あまりに過酷だけれど、彼女の歩みの先には一筋の光がある……そう思わせてくれます。
これを観れば、今回の大統領選の結果に納得がいく……ってわけじゃないけど、今こそ、観る価値あり!の傑作です。